【授業の目的】
 熱力学は,熱を機械仕事に変換する際に必要な学問で有り、エネルギーを取り扱う工学分野に関わる人にとって必須の科目である。輸送機器(自動車・航空機・船等)、空調設備(エアコン・冷蔵庫)、プラント(発電所・鉄工所)等、エネルギーに関わるあらゆる機器の設計には熱力学が不可欠である。
 この授業では、学部時代に学んだ熱力学に関する基礎概念を基に、より詳しく熱力学を理解し、熱機関の仕組み・原理を理解する。

【授業の概要】
○ 熱力学の歴史的背景や基本法則の導出過程に関して学ぶ。
○ 各種熱機関への応用について演習問題などを通して詳しく学ぶ。
○ グローバルな視点を身につけてもらうため、必要に応じ、英文で書かれた教材により修学する。


【達成目標】
本授業の達成目標は、以下の通りである。
1. 学部時代に習学した熱力学を復習し修得する。
2. 熱力学の一般関係式を導出でき、利用する事ができる。
3. 様々な複雑な問題を解くための視点を修得する。
4. 熱力学の本質的な理解を目指す。


【授業の方法の説明】
講義1時間程度、演習30分という形で授業を行う。
熱力学は小中高ではあまり触れてこなかった範囲で有り、大学で初めて学ぶ事が多く定義をしっかりと理解する必要がある。そのため板書が多くなるが、それではノートを書くのに時間がとられてしまうため、板書に時間をとられそうな部分はプリント片を配布し板書時間の節約につとめ、講義内容を聞く時間や理解する為に割く時間を確保した。
また1時間の講義の後、演習問題を解く時間を設け、授業中にその授業内でやったことを復習するための時間を設けた。
講義のレベルは高い。
4年生からの受講を推奨する。
講義に際し必要なモノ:筆記道具(鉛筆類、消しゴム類)、ノート、のり


【講義計画】(括弧内は講義時間の目安)
1.ガイダンス・熱の基本概念(復習) (1回目)
 ・本講義の目的、内容及び成績評価方法などについて、説明する。
 ・基礎熱力学で学んだことなどを復習をする。
2. 熱力学の基本式(復習) (2-5回目)
 ・第1法則、カルノーサイクル
 ・第2法則、エントロピー
 ・エクセルギー、自由エネルギー
3.理想気体の状態変化(復習) (6,7回目)
 ・理想気体、等温・等積・等圧過程、
 ・可逆断熱、ポリトロープ過程、混合
4.熱力学の一般関係式(8-10回目)
 ・デゥエムの定理、マクスウェル、Cp, U, H
 ・ジュールトムソン効果
 ・相平衡とクラペイロン・クラウジウス
5.化学ポテンシャル(11,12回目)
 ・浸透圧、沸点上昇・凝固点降下
6.化学反応と燃焼(13-15回目)
 ・ギブスの自由エネルギー、燃焼
7.習熟度確認(16回目)
 本講義の達成目標に記載されている項目の習熟度を確認する。



【成績評価】
習熟度確認テストの結果に基づき、以下の基準で評価する.
加点対象:出席、課題

AA すべての達成目標に到達し、応用問題を解くことができる.
A 達成目標5個中4つ程度を充分に理解している。
B 達成目標を概ね(5個中2~3つ程度を)理解している。
C 達成目標に到達できるだけの知識を習得している。
F 達成目標に到達していない。習熟度確認テストを受けていない。


【授業時間外学習(予習・復習等)の説明 】
授業内容の復習が可能な様に課題およびその答えをウェブサイトに掲示した。授業を聞いているとその場ではなんとなくわかったつもりになっていることがあるが、
実際に問題は解けないことがあると思います。授業終了後できればすぐその日のうちに授業内容の復習をしっかりすること。また大学ではあまり行わなかった予習などもやってくる事を推奨する。
授業内容は比較的難しいが、毎年90%以上をとる学生が何人か出ます。
その学生を見ていると、その都度の努力が実っていると感じます。



【備考1】
 日時:2Q 火金1限
 講義部屋:A112
 担当教員居室:A428


【テキスト】
必要に応じて補助テキストを配布する。
参考:
『JSMEテキストシリーズ 熱力学』日本機械学会編 丸善 ISBN: 4-88898-104-3
『Thermodynamics (in SI Units): An Engineering Approach』McGraw-Hill Education (Asia), Yunus A. Cengel,  Michael A. Boles, ISBN-13: 978-9814595292
『なるほど熱力学』海鳴社 ISBN: 978-4-87525-2221